幻想の都 カトマンドゥ [ネパール編]
旅も佳境に入ってきた。
ベナレスからバスで一日半
国境を越え辿り着いた、祈りの都。
インドからこの地へやってくると、とてつもなくホッとするのは、なぜだろうか。
沢木耕太郎も言っていたが。
我々と顔が少し似ている?
信仰心からくる、ある種の落ち着いた物腰のせいだろうか?
いや。
いつかどこかで、この風景を、みていた。
ネパールの人々は、ヒンドゥー教と仏教を同じように信仰し
分け隔てなく奉る。
同じ広場、建物の中に、
シヴァ神と仏陀が、同居する。
神々が
ある種異様な、迫力で眼前に迫ってくる。
何が嘘で、本当か。
遠く金色にかすんだ丘の上から
夜の帳が降りてくる。
ここは夢か、幻か。
今宵はこの、暗闇の迷路の中で
懐かしいあの人に
出会うかもしれない。